Three jade and two animals (3つの玉と2つの動物)

mklasohi2013-03-01


武漢に戻る前の3日ほど、西安美術大学芸術学部の(人冬)玉潔先生にお誘いいただき西安郊外の隴県と宝鶏市で社火という元宵節のお祭りを見てきました。
そのお祭りも面白かったのですが、わたしにとって、人との出会いはもっとこの旅を彩るものでした。
写真右が(人冬)先生、左は元ロンドン大学芸術学部のロビン教授。息子さんがBBC の記者で香港やアメリカを飛び回っているそうです。レオナルドデカプリ似だそうで、会ってみたいですね。ロビン先生はご自身彫刻家であり、研究者でもあり、インドからシルクロードを通って、中国に渡ってきた彫塑の様式等を研究対象にされているということ。


右は、鳳翔県という小さい町の民間泥塑ですが、この中にヒンドゥーのお面とそっくりなものがあるそうです。また(人冬)先生のお話では、この町は秦の始皇帝時代に度量衡の基礎が作られたところということ。さすが西安シルクロードの終点、始皇帝の活躍の土地柄。


さて、お祭りの様子(動画)は、こちらにアップしたので少しご覧いただけますが、これはパレードのほとんど尻尾で、もっと華やかなお祭りですが、それなりの雰囲気は伝わってくることでしょう。またもっとご興味のある方は(人冬)先生のブログをご覧ください。


西安の旅、2人の女流画家の方とお知り合いになりました。


Li Qiong  
李瓊さん。西安美術大学を卒業、大学教員の口がありながら、知識が足りないと考え、東方航空の雑誌デザイン編集と、創作を続けてきたそうで、この絵が彼女の作品。
右は7歳の時の自分。屈託なく愛らしい笑顔。左は、夫婦という男女を描いた作品「衆妙之門」。


「女性は全部裸になり男性に尽くすが、男性は裸になることはない。仕事やつきあい社会的なことが頭から離れることがなく常に服を纏っている」という意味を表しているそうです。これを見ていて、確かに男女にあるこの違いを感じます。女性の方が強いとされる所以でしょうか。彼女の「お尻」シリーズも面白いです。

     

22日の晩は西安美術大学に泊り、23日は宝鶏市のホテル、24日はまた美大に泊りました。

23日の晩はLi Qiongさんと同室、眠りに着くまで、そして朝起きてからもずっと話を聞いていました。佟先生やロビン先生たちはまだ外が暗い中。6時にホテルを出て社火の出演者たちの化粧の様子を取材、そのあと、パレードが昼前に終わるまで歩き続けだったようですが、わたしは、前日も寝不足もたたっていたのと、Li Qiongの話が魅力的で、私の中国語は彼女の話を聞くために学んできたのではと思うほどでした。

 絵の中にある屈託のない少女の笑顔。このあとほどなく彼女はは知識人のお父さんを亡くしています。文革は知識人で裕福な彼女の父親を引きまわし、憤死させたのです。お母さんも彼女が17歳の時に亡くなっています。上にお姉さんと下に弟がいるため、3人寄り添い親戚を頼って生活、しきたりや習慣などを教えてくれる人がいなかったから、本を読んで学ぶしかなかった。そして文革が終わりを告げ、大学入試が再開され、大学に行こうと思い、絵の大学ならと準備を始めた。父も母もいない。不安な心の拠り所は、四合院の庭に咲く一本の花。毎日、花に向って祈りを捧げることで心を鎮めてやがて見事たった一人の女子学生として入学許可が下りたそうです。


男性の中に伍して暮らし、お酒は飲むし、煙草も吸う。そうい豪快さもあるけれど、その心の美しさ温かさ、聡明な善良さ。写真の女の子がしっかりと生きて大人になったのです。その年の春は、その花が大きく育って見事に咲き誇ったそうで、植物と話ができるようになったと話してくれました。
仏教を信仰する中国人の友人が、人は皆、孤独。誰かに依りかかるのではなく、自分の心の中に大きな一本の木を持ちその木陰で休息すればいいのだと言っていたことを思い出しました。

そんな話を聞いていたので、お目当ての宝鶏市の社火は終点に向う終わりのパレードでした。けれど、じつはといえば、私もお祭りはそんなに期待していなかったのです。何かに会えそうな気がして、そしてやっぱり会えた。その話を聞く時間に浸っていました。
Li Qiongも、商業化された社火はつまらない、と言っていました。社火を見に行くなら、誰も来ないような村に行った方がいいと。そして、昔ながらの準備を2-3日前から一部始終を体験するといいと。社火とは土地神様のお祭り。ロビン先生の話では次の日から一年の農耕がはじまるから、土の神様にお祈りするのだ、ということでした。なるほど。


通りは人でいっぱいでしたが、ホテルに戻る途中、道を歩いていると、元宵節の行事のひとつ「猜謎(謎かけ遊び)」の札がかかっていて、Li Qiongにやって賞品をもらおうと誘われました。書かれた謎々を読んで、漢字一文字を当てるのです。
私たちが解こうとしたのは「尻尾が曲がった羊。顔の醜い羊」。



もちろん私より早く彼女が「羞」という字だと思いつきました。確かに羊で尻尾が左に曲がって下が丑(醜い)です。彼女は日本人よと、特別待遇で写真を撮り、もらった賞品はTide洗剤とエコバックでした。これも一つの文化です。
歩きながらこういう謎々もあるのよと。「鏡の中に人がいる。さてなあに」

鏡の中の字ね…と、「立つの下に兄?」などと答えてみたのですが、正解は「入」でした。確かに鏡に人という字が逆さまに映れば「入」の字に。なんだかシュールなこの答えが私はとても気にいりました。
この夜は満月。Li Qiongの運転するジープで西安に戻りました。ロビン先生も同道でしたがさすがイギリス紳士。降りるたびにドアを開け閉めしてくださいました。満月を見上げながら、自分はたまたま母国に生まれたに過ぎないと思っている3人でした。そういう満月もいいですね。

Luo ying 羅瑩

羅先生とは西安美術大学の宿舎で一つおいた隣り合わせ。一泊90元の留学生アパートを(人冬)先生が予約してくださっていました。 羅先生は武漢理工大学の芸術学部の教授です。見たところかわいい女性といった感じですが、描かれる絵にはまた、聡明な洞察力が織り込まれています。じつは昨年、華科大でとう先生の講座を聞き感銘を受けたのが今回の交流のきっかけですが、そのときの講座の内容を日記に書き、ネットで集めた作品の一つが実は羅先生のものだったことがわかり、こちらも画集をいただいて帰り、眺めています。その素晴らしさに興奮気。2012-05-23 - 上海・華山路(ホアシャンル)から ーmklaoshi日記

赤の女性はりんごを持ち、黄色の絵の女性の手に持つのは過去の女性を蹂躙した大官の首でしょうか。


  

若い男性がよく見れば軽やかに揚げた足が纏足の小さい可愛い靴を履いている、という絵もあります。

Li Qiongさんいは、東方航空のお偉いさんであるご主人との間に女の子がいて、今はアメリカのペンシルベニア大学建築学科に留学。とう先生は双子の男の子。ちょうど留学準備をしている忙しい最中だったのに何かと世話を焼いていただきました。25日の朝食は葱と海老入りの玉子焼き2つとオレンジでした。


元宵節24日の夜は、東方航空のお偉いさんであるLi Qiongさんのご主人の手料理を花火が上がる音と聞きながらご馳走になりました。次の日には上海の本社へ戻られるというのに、エプロン姿で炒め物や魚の煮たものと作ってくださった。ご主人のお父様もロビン先生そして若い馬さんという男性といただいた。


3つの玉は3人の女性のそれぞれの名前の中に「玉」と言う字があるから。才能と澄んだ鈴の音のような感覚の持ち主たちでした
2匹の動物というのは、Robinはコマドリという意味なのでRobin先生。そして、佟先生たちを乗せて車の運転をしていた人が馬(シャオマー)さん。彼もまた、カザフやタジキスタンを旅し展覧会を行う人で、この春節には腕をふるったと見せてもらった料理は、アワビやカニなど高級食材のものでした。


このメンバーで、龍県の招待所で元宵節の団円を食べました。
いつか団円し、また会えることを夢見ています。。