チエの輪

武漢に4年近く留学されていた女性唐獅子牡丹海老さんが月末に帰国されるということで夕べ、餞の宴を持った。

まず互いに話したのは、中国人の当初の日本への同情がなにか放射能の拡散から日本忌避にやや変容しているよう感じられるということ。津波の映像から、なかなか安定しない福島原発の映像が連日続いたから、放射能が大変な勢いで拡散しているように映ったのだろう。日本からウルムチに戻る娘さんのお土産にも、避けるような目が向けられると中国人の友人も言っていた。

それを宥めるかのようにCCTVは「中国には放射能の影響はない」、と客観的な報道を心がけているようだ。夜のニュースで帰国した中国救援隊の隊員の「大天災の前には国境はない」というインタビューが流れていた。隊長が被災地のコンビニで買い物をしようとしたとき、中国救援隊とわかると、お金をとらなかったとか、そんな日本人の姿も伝えている。

多くの外国人が日本から離れて行く中で、逆に日本に帰国する牡丹さんは、湖北省世界遺産、冬の武当山の零下にも暖房のない中で武術の修行をしてきた人。武漢のかまどの夏にも耐え、暖房のない冬にも耐えられるそのサバイバル力を日本で生かしたいと、中国人が使っている魔法瓶も持ち帰るのだそうだ。
見た目は良くないけど中国の魔法瓶の性能は確かにいいです。自動湯沸かしポットなんかいらない。…冷蔵庫保存でなくて、武漢の冬の軒先にぶらさがる、蝋肉(ラーロウ)、蝋魚(ラーユゥ)という塩蔵干物、あれなんかもいいですよねと。

そうですね。新しい経済復活や節電などの生活のため、そういう知恵の輪が生まれてくるような気がします。
牡丹さん、日本でのご活躍をお祈りします。