ロータスホテルとMr.J

mklasohi2007-05-18

不思議な夜だった。外事処から電話がかかってきて、漢陽にできたスイス系五つ星ホテルに外国人教師が招待されているから4時に迎えに行くという。学生の誘いも突然なら外事処からの誘いも突然。ミステリアスな国・中国。
章さんから送られてきた論文を昨日、深夜2時までに整理しなおし、問題点を洗い出し、送り出して、今朝は授業。
車は外国人教師5人と外事処の若い先生を分乗させて漢陽へ。武漢3鎮のひとつ漢陽にはなかなか行く機会がない。窓からみえる風景も何かのんびりした別の小都市のよう。
ホテルの名前はSwiss-Belhotle Lotus Lake Wuhan 武漢瑞雅蓮花湖酒店。
客室数158、奥の部屋からはロータスレイク(蓮花池)が見渡せる。一番高い大統領ルームにまず案内してもらった(写真)。全フロアーが超豪華スウィートルームになっている。リビング、キッチンと寝室が2つ、ジャグジーや、シャワー、サウナまである。一泊1万元(17万円)だそうだ。池の向こうには漢陽の庶民の赤いレンガの家が見える。スタンダードで700元ぐらい。オープニングは6月か7月の予定で、キャンペーン中は270元ほどでスタンダードに泊まれるそうだ。
 夕食はチーズフォンドュではなく中華だった。が、おそらく武漢で食べた中で一番上品な味だった。そうですね。じつは私は中国でグローバルスタンダードの5つ星ホテルにはあまり興味がなく、できれば中国にしかないホテルに泊まりたいので、ホテル自体にはあまり感激をしなかった。が、ここのお料理は特筆してもいいと思う。
 今夜の面白さは集まった人たち。今日のご招待はわが大学だけだったのだが、丸テーブルに揃ったホテル側のスタッフの方々などとも思ったよりゆっくりとお話ができた。スイス人支配人、マレーシア人ディレクター、ケニア育ちのドイツ人フロアマネジャー、香港人女性スタッフ。皆さん英語や中国語を駆使して、いろんな国を通過しホテルの成功のために集まってきた人たちだ。そしてその上に中国人老板(社長)。私たちを招いてくれたのも中国人社長がホテルに対する意見を聞きたかったからだそうだ。建設的な意見を言わないといけませんね。社長に青島から帰ってきたらメールでもしますとお答えした。
 それからもうひとつ。行きも帰りもイギリス人のJ先生とご一緒したが、以前からこの先生のことは書きたいと思っていた。生命科学を教える教授で、発音をきいているとまるで美しい英語のテープかBBC放送でも聞いているよう(ややオーストラリア訛りもある?)イギリス紳士、以前、パーティで音楽の音量が大きすぎると怒って食事がでる前に退席されたこともあった。
先生の人間の面白さは、先生が実は1941年に武漢で生まれたイギリス人であることにもある。お父様が宣教師、お母様が医者。いまも残る病院の側に住んでいたそうだ。1949年、新中国の成立により、ご一家で帰国を余儀なくされたそうだが、すっかり忘れた中国語をお抱えのコックさんと話していたこと、長江の流れを見ながら遊んだことも記憶にあるそうだ。
 わたしも20余年、足を踏みいれることができなかった中国だが、J先生にいたっては51年の歳月が中国を隔てていたのだ。51年の歳月が経ってはじめて中国に降り立ったとき、自分が長いこと失っていたものに出会えた気がしたそうだ。
今では当時の近所の人や、生まれたときに産湯を使わせてくれた看護婦さん(87歳)などにも再会し、初めて赤ちゃん友達になった女性が今、この大学のそばに住んでいることも探しあてたそうだ。アラビアのロレンスばりの背の高さ、雰囲気を漂わせる先生のどこかに武漢の水が育てた9年が流れていることが不思議な夜をもっと不思議にした。

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