時空をこえて

昨日見たニュースでは帰省客で混雑する北京駅でニセ切符売りのお婆さんが捕まった様子が映し出されていた。お婆さんの懐からでてくる札束といんちき切符の束。
本当にお金のためならなんだってありの世界が中国には展開し、騙されぬ賢さを身につけなければならない。こんな中国を嫌いになる人もいても仕方がない。
しかしと私は思う。嫌いになるのは簡単だが、そんなに簡単に嫌いになってはもったいないのではと。
様々な顔をもつ土地、歴史的建造物と急速に変化していく街、人情深い人たち、そして美しいものを生み出してきた文化。
 台湾の「林清玄」のエッセイに蘇軾の定風波の「一蓑煙雨任平生」について、「子どものころ、蓑笠だけでは寂しくないか、一壷の酒、一分の愛、一腔の熱血を一緒にもってあるかなきゃと思ったが、いまでもとりわけ情愛を手放すことができない」とあった。蓑笠一つで霧雨の中、物ともせずひとり歩いていく老人の姿・・・。(詳しい解説は、宋詞を愛する熊猫博士に。くまねこさん宋詞愛する人を増やしてください。)
 1月に人と遊びに出た帰り、別れて1人並木道を歩いていた時、小糠雨の中を、温かくコートに包まれて歩いていると、ふとこのことかと思われた。一つの句を巡って、ふとこれかと体験する時、何と時空を越えた体験となることか。家に帰って急ぎ、本のページをめくった。
 林清玄の文章には他にも桂花の香りを瓶につめて、秋が過ぎた時、蓋をあけて楽しもう、月の光を酒壷につめて小さい火で温めて飲もう。この中に真意ありと、ある。
「この中に真意あり」とは、夕日の中ねぐらへ向う鳥たちをみて陶淵明が言った言葉ですね。秋の夕暮れ、春の花の下でこの言葉を思い出したこともあった。
そんな言葉に育まれた中国は今でもあるし、それを会す人もいる。粗野な人もちょっと待てばきっとその豊かさに気付くはず。
 美しいもの選んで掬って飲めば、それだけ中国での生活や、付き合いが美酒を飲むが如くとなるでしょう。愚痴もいいつつ、中国生活を楽しみたいですね。
 映画は残酷でしたが、周傑倫の歌うテーマソング「菊花台」には、唐・宋詞を思わせるような味わいがあります。どうぞ聞いてみてください。歌詞は、下記。(楊君送ってくれてありがとう)
菊花台 

你的泪光柔弱中带伤
惨白的月弯弯勾住过往
夜太漫长凝结成了霜
是谁在阁楼上冰冷地绝望

雨轻轻弹朱红色的窗
我一生在纸上被风吹乱
梦在远方化成一缕香
随风飘散你的模样

菊花残满地伤
你的笑容已泛黄
花落人断肠我心事静静躺
北风乱夜未央
你的影子剪不断
徒留我孤单在湖面成双


花已向晚飘落了灿烂
凋谢的世道上命运不堪
愁莫渡江秋心拆两半
怕你上不了岸一辈子摇晃

谁的江山马蹄声狂乱
我一身的戎装呼啸沧桑
天微微亮你轻声的叹
一夜惆怅如此委婉

菊花残满地伤
你的笑容已泛黄
花落人断肠我心事静静躺
北风乱夜未央
你的影子剪不断
徒留我孤单在湖面成双

菊花残满地伤
你的笑容已泛黄
花落人断肠我心事静静躺
北风乱夜未央
你的影子剪不断
徒留我孤单在湖面成双