卒業の季節

英語と中国語で張り紙してあった、昨夜の停電はなんと起きなかった。服務員さんたちも「線がちがったのかな」ぐらいだけれど、なんなんだろう、このアバウトさ。
さて、1人2人少々手伝った4年生の卒論も10日が締め切りで、もうすぐ卒業の季節。中国の学期はアメリカと同じ9月が新学期なので、おとといからは全国統一の大学入試試験(高考)が始まり、7月には新入生が決る。
 今日は風邪をひいてしまい、夕方まで寝ていた。学内の国際交流センターが1週間に1度ドアに挟んでくれる英字新聞”21st Century”をぼんやり見ていたら、アメリカの大学の卒業式での有名人のスピーチが載っていた。FRBグリーンスパン議長(ペンシルバニア大学)、アフガニスタンカルザイ大統領(ボストン大学)、スリラー作家スティーブン・キング(メイン大学)の3つで、ちょっと熱っぽい頭にはスティーブン・キングの平明で、しごくまっとうな話が印象に残った。「1ドル稼いだら、1ダイムを人に分け与えよう。・・・君にそれができる余裕があるなら、病気の人、飢えに苦しむ人、不幸せな人、教育を受けていない人、そんなフェンスの外に立っている人たちのことを考えよう。・・・君の豊かな未来は分け与えることでやってくるのだ」
 中国にはお金がなくて義務教育が続けられないような子もいるし、先進技術や富を享受できる人がいる一方で、社会保障制度の整備も遅れていて、ほとんどの個人経営者など体をこわせば、貯金と親戚・友人等に頼るしかない。だからこそ「愛心」活動を新聞も熱心に報道し、募金を呼びかけ、生活に困る人たちを救おうという動きがあるのだろう。社会任せにせず、個人的な助け合いも今後も大切だと思うが、国民が安心して参加できる基本的な社会保障の確立が望まれる。そのためにも、社会の成員として制度を変え、支えていく人たちが生まれ、巣立っていく必要があるだろう。 また、日本も何かそうした分野で力を使えるといいと思う。そのときは、ODAより一人ひとりの「愛心」の方が共通言語になるような気がする。