一斉の春

武漢大学女子寮前の桜


春がこぼれるようである。

昨日は、1年生に誘われて武漢大学の桜を見にいった。武漢大学と華中科技大学は武漢の両雄と並び称せられ(全国的にもトップ10に入る)、民国19年(1930年)の設立の武漢大学は、科技大より長い歴史を持つ。そのため、両校に高校の同級生がいたり、相互単位取得可能な仕組みもあって、身近な存在となっている。平面で並木が多く近代的な建物の多い科技大学とは対照的に、武漢大学は古い中国式の建物に桜が映える。
 昨日は科技大の学生の高校時代の友達が出迎えてくれ、キャンパスを案内してくれた。驚いたのは、桜の季節、部外者には一人10元の入校料を取るのだが、出迎えてくれた学生が人数分の武漢大学の学生証を友達からかき集め、科技大の学生のために用意してくれていたこと。学生証をである。それだけの数、収集できる彼もすごいと思うが、見知らぬ他大生に簡単に貸してくれる彼の友人たちと、信頼されている科技大学の学生と、その関係のなんと温かいことか。 満開の桜と、学生同士の仲のよさに、春意濃濃、温かな春こぼれる思いがした。 帰りは、東湖に面した北門から出て、5人で舟にのった。波のない穏やかな湖面に櫓を漕ぐ音。たっぷんたぷんと、優しい春の日が暮れた。