「春の日の中で」

春のような陽気のあと、週末寒くなるとの予報でしたがいまのところ曇り空なだけ。
完成させなくてはならない課題があるのですが、ちょっと一休みして…

2月2日の夜に放送された春節の特別番組「春節晩会」(日本の紅白にあたる)は最近つまらないという批判も受けながら、中国ウォッチャー的には時代を垣間見ることができるという面白さがあります。今年はその後、汪峰というロック歌手と農民工2人組みの間で問題が起き、世間を騒がせています。
ことの発端は今年の春節晩会で農民工の旭日と陽剛という2人組が汪峰のヒット曲「春天里(春の日に中で)」を歌って一夜にして全国に知られたこと。もとはと言えば汪峰が、2人が狭くて汚い部屋でこの歌を熱唱している画像をネットで見て感動、自分のコンサートにも呼び一緒にこの歌を歌ったところから始って、中央電視台の知るところとなり、この夜の出演とあいなったわけですが、その前後「この歌」で引っ張りだこになって巨万の富?を稼ぐようになった2人に、「自分の歌で稼いでほしい」と苦言を呈し始めたこと。

TV番組には知的所有権の権威なども出てきて汪峰の主張が正当であることを論じていますし、理は確かに汪峰にあると思います。
が、この夜に聞いた彼らの「春天里」が聞きたくて2人の農民工歌手を呼ぼうしている舞台で、農村出身の草の根歌手たちににわかにこの曲を上回る作曲作詞能力が生まれるとは思えませんし、ほかの曲をお客さんが聞きたいとも思えないところがつらいところですね。
一方、汪峰を調べてみると、北京生まれで、子どもの頃からバイオリンを習い、中央音楽院の付属小学校から同大学を卒業(日本でいえば芸大出身)、才能も家庭的条件も圧倒的。


ここで春節晩会の女性司会者の紹介の後に農民工歌手の2人の歌が聞けますのでよかったら聞いてみてください。

 あの時の俺はクレジットカードもなく 彼女もなく、24時間お湯のでる家にも住めなかった でも楽しかった日々 
 壊れたギター一つ、街角や橋の下で だれも聞いてくれない歌を歌っていたものさ…
 もしもよりどころを失った時、この春の日の中に居させておいてくれ、
 もしひっそりとこの世を去る日がきたら、この春の日に埋めてくれ


歌詞はこんな感じ。 この歌は農民工の彼らに真実があることを物語り、才能は汪峰にあることを物語っていますね…。



汪峰の「春天里」と大ヒット曲「飛得更高(もっと高く飛びたい)」 
もよかったらご一緒に聞いてみてください。


★それからもう一つ蛇足ながら、
上記晩会の同動画で、農民工歌手の歌、踊り、漫才のあと19分ごろから台湾の歌手Jチョウの古典的歌詞の「蘭亭之序」があり、
女優リン・チーリンも出てきて、一年生の学生たちはこれが一番よかったと言っていました。不思議な舞台セットも。