雨の夜は

昨日も今日も雨。夜は窓の外の雨の音を聞きながら仕事をする。
雨は好きではないけれど、雨音を聞くのは嫌いではないとふと思う。騒がしく人が行き来するでもなく、世界に雨と自分と静寂だけ…と、そんな気持ちになれる。

中国には「聴雨」という言葉があることを思い出した。梧桐聴雨、池蓮聴雨、芭蕉聴雨…。それぞれの葉に当たる雨の音を聞く。

そして清の張潮という人の「幽夢影」という随筆に、四季の雨について書いた一文があることを知った。
「春の雨は読書に宜しく、夏の雨は弈棋(将棋を指す)に宜しく、秋の雨は検蔵に宜しく、冬の雨は飲酒に宜しい」

秋の雨は、昔のものを取り出して片づけながらぼんやりと時間を過ごすのがよいらしい。

原文は第四巻にあります。ぱらぱらとみると「枕草子」のような詩人の感性と出会う。簡潔で味わい深い。

わたしは一人、秋雨の夜、雨について考える…。