ターメンゾウラア

mklasohi2009-09-28

部屋の前のキンモクセイの木からいい香りが漂う季節になった。また1年たった。

中国に来て1年1年の時間の流れがあまりに早く、去年のこと、もっと前のこと、この木を見上げた人のこと、一緒にどこかでキンモクセイの下の道を歩いた人のこと、丸い月を一緒に見た人のこと…等など様々な人のことを思う。人懐っこい性格なので人との別れは辛いことの一つだ。

武漢の変化はあまりにも早いが、大学内も、新しい学部の建物が出来たり、綺麗な食堂が建ったり。それほど何かを急いで変えていく必要があるのか。変えるべきは、そこではないのではないか、そんな気もする。

夕方、市場にも近いよく行った手打ち麺屋さんに立ち寄ってみた。この半年、別の所の麺がマイブームとなって、足が遠のいていたが、私は一時期、一日一度はここに通ったのだ。素ラーメンを注文しても、常連ということでおばさんがよく、おまけをのせてくれた。
確かに新学期になって初めて足を踏み入れた。そして知った。
後ろで、手打ちで打っていた台はもとより、おばさんが具やだしを調合するガラスの台もない。それらは壁に塗りこめられて、忽然と、跡形もなく消えている。新入生からみたら、ここにそんなお店があったこともわからないだろう。

同じ食堂の別の窓口のおばさんに聞いてみた。

「ターメンゾウラア」。あの人たちは行ってしまったよ。

なくなることも知らなければ、あのおばさんと一言さよならも交わさなかった。


私は人との別れが苦手。それが秋ならばなおのことである。