本橋成一監督

友だちに昨日夜8時から本橋監督のトークショーがありますよといわれて、その監督作品「バオバブの記憶」鑑賞とともに見に行って来た。夜8時の池袋。

この記録映画はアフリカ・セネガルで何千年も生きるバオバブの木の下で撮影されている。落花生を植えても、道を作っても木はドカンとそこに生えたまま、精霊の宿るバオバブを切り倒すことはない。鮮やかな衣装の女性たちと子どもたちが一番の働き手。魅力あふれる女性たちと、どっしりと大地に根を生やすバオバブが重なって見える。
バオバブの木は「星の王子様」では惑星を破壊する悪役ででてくるが、セネガルでは、飲んでも食べても、栄養や薬効をもたらす木。実、葉、樹皮、見ていてどんな味かな、煎じた汁を飲み粉入りの魚スープを食べてみたいと思えてくる。
そんな訳で日本にいる方は是非ご覧ください。また、こんな映画こそ、あっけないぐらい古いものを捨てていく今の中国の人たちに見てもらいたいなと思う。
セネガルでは近年中国の援助で道路が作られ神木のバオバブを切り倒そうとするらしい。何でも技術力で掘り返し、殴り倒す今の中国。征服王朝の歴史から言ってもあまり痛みを感じないようだ。
映画に先立つ監督のお話は、最近、どうもちらちら堕落した考えが流れる雲のようにやってくるmkにとっては、頭からシャワーをかぶるような気分だった。
本橋監督は勿論お年もずいぶん上ですが、おそらく私より2層ぐらいは深いところを掘っていらっしゃる。そんな深い所をやすやすと。また見ればそこには水が流れ、ひんやりと休む場所もある。
水といえば、人間の体の70%は水だともおっしゃっていた。前前作「アレクセイの泉」の撮影ではチェルノブイリ原発事故で汚染されたベラルーシの村で老人が「人は死ぬときは借りた水を返したいのだ」と話してくれたとも。
たかだか水の私ではないか。水。2層、3層深い地層をやすやす掘る方がいることに安心を覚える。
そして川でも神木でも山でもいいけれど、そこから私までの途中にいる人やもののことを自分はちゃんと考えられるのかとふと思った。うふふ、ここは意味不明でしょう。とりあえず、わかる人だけわかってください。

よい時間でした。誘ってくれた関係者@asaさんに感謝。