訴えかけてくるもの

mklasohi2009-06-17


心に去来するものも多く、疲れも手伝って集中力を欠き、仕事効率が悪い。何かひとつ終わらせるのにいつもよりエラク時間がかかる。
まるで、流れる雲か、のちにわか雨に濡れ、蒸す午後に疲れて眠りたくなる日々のよう。

先日、武漢の地方劇漢劇を見てきた。京劇の源流の一つと言われている。老漢口・前進四路にある小さくて地元の人しかいかないような武漢漢劇場。80%ぐらいがおじいさん。クライマックスになると「ハオ!(よし)」と声がかかる。
若者から中年ぐらいまでの人がなぜ京劇などの古典劇が嫌いかといえば、一つには聞いて意味が理解できないから。漢劇でいえば、発音は共通語と武漢語の間ほど。

唱と呼ばれる歌の部分にはほとんど壁に電光掲示で字幕がでるが、これもまた古文が読めないと理解できない。漢文をやった私は読めば大体の筋はわかるし、現代漢語と違う語法なども見つけられて楽しい。
お年寄りがなぜこれを楽しむかといえば、慣れということもあるが、それ以上に筋の中に描き出された人の悲しみ恨み喜び愛情などその人としての感情の様々が、人生の風雨を経たお年寄りには深く理解できるからだ。
舞台では人の愚かさ、弱さ、ずるさ、そしてそれを乗り越える愛や知恵が語られ、うたわれる。
心に訴えかけてくるもの。長く生きてきた人はそれを汲みとり、よく知ったさびに「ハオ!」と叫んで、大きな拍手を送る。
ものの哀れを知り、厳しさを知り、風雨の後の空の切れ間の一瞬の太陽を見上げる。 そんな風に年をとるのも悪くないな。


そう思いつつ、一つ一つ片付けていくとします。