肌寒い春の日が行き過ぎる

あの雨がうそのように連休2,3日は陽光燦燦だった。だが、お出かけでたまった仕事などを部屋で片づけていると、桜も咲いて2週間以上がたった武漢が肌寒い。エアコンも全館修理中だから頼るは足元のヒーターと小さいひざ掛け布団だけ(寒)。
休憩して、先週の新聞を読んでいたらある記事に目がとまった。ある石炭王が息子のために浙江省で超豪華な決結婚式を挙げた。4つ星ホテルを全室二晩借り切り、昆明から花300万円分、香港からフカひれ・鮑600万円、打ち上げ花火600万円、CCTVアナウンサーの司会、故郷福建省から料理師10人…。総経費9000万円。
レストランで働く人一か月500-600元(8000円程度)の中国。全国の炭鉱で爆発・落盤事故が毎日のように起きている。炭鉱労務者の給料は命がけの金額だから高くて4000元前後。日本でも「蟹工船」が流行り、若者の共産党入党が増えていると聞くが、社会主義国でこの大きすぎる格差。いったいこれは?驚くばかりだ。
先週の3年の授業で清明節にちなんで「おくりびと」を見た。作文クラスなので感想文を書いてもらった。ある学生は中国語でもながい感想文を寄せている。わたしがここに自分の感想を載せていると仕事が終わりません。
TVではこの時期、去年は周恩来首相追悼番組、今年は「論語心得」で有名になった北京師範大の于丹教授など著名人が肉親や追悼したい人の写真のまえで涙ながらにせつせつと語るという番組もあった。何かにつけて行事の勢いが淡くなっていく日本に比べると中国は国家政策としても伝統行事を重んじる傾向が強いように感じる。ときに濃すぎるようにも思い、ときにより人間臭さや温かさを感じ、おそらく60数年前のことがなければ中国人は日本人にだってもっと暖かいだろうなとも思う。

菜の花に包まれたお墓参りの夜、携帯にあるメッセージが入っているのに気がつかなかった。去年の暮、日系企業H社の日本語研修で3回だけ教えたことのある中国人職員の方からのお知らせだった
「無事、女の子が生まれました」。若いお父さんの喜びが伝わってくる。「母女平安(母子ともに健康)」の文字。
おめでとうございます!

去っていく人、生まれてくる人。この春の日に私の中で行き違った出来事だった。