睹物思人

旅装を調えはじめるようにアマゾンで研究関連の本を注文した。

睹物思人(ドゥウスーレン)。それを見ると、それにまつわる人を思い出す。たとえばその人が使っていたコーヒーカップを見て、その人のことを思い出す。そんな意味。
アメリカ人・画家ワイエスが16日に亡くなったそうだ。大学のとき、ワイエスの展覧会を見に行って印象に残ったのが、棚の上の砂糖つぼの絵。灰色の焼き物でどっしりとしてツヤがある。「堵物思人」の絵。砂糖つぼを見るとそれを使っていた人が思い出されるという、人がいないのに、思いが見える絵。
我が家のトイレにある今年のカレンダーは映画カレンダーで、日々映画スターの誕生日が書いてある。今日の誕生日スターはケビン・コスナー(1955)とジェイ・チョウ周傑倫(1979)。へ〜と思い周傑倫の歌が聞きたくなった。「東風破」を聞く。すると、いきなり3年前のことが甦った。「聞いて思い出す」もある。箏のアルペジオが降り始めの雨の音のように聞こえてくる。
明日は、中国に学生のために何ども本を送ってくれた大学の友人が、初めて家へ来ることになっている。一緒にワイエスを見に行ったこと覚えているかな。雨だと足元が悪い。
そんなわけで、あれを見てはあの人を思い出し、これを聞いてはこの人を思い出す。
人はそんな物に囲まれている。