こんな夜もある

時間をやりくりするために、全行程タクシーを使うことにして、高雄路にあるpatissier_m_k さんのお店にクリスマスケーキを2つ注文し22日、3時ごろ取りに伺いますと伝えた。漢口出身の2年生linさんの家に持っていくのが1つ、新疆で皆さんにお世話になったお礼にA先生のお母様に1つ。ところがこの2軒のお宅、漢口の端と武昌の端でバスで行こうものなら片道で2時間半?かなという距離。それで、タクシー代も含め数百元をおろしに銀行に寄ってきた。
linさんの家でお母さん手作りの武漢ゆかりの晩御飯をご馳走になり、さぁタクシーにのって湯遜湖のA先生のマンションに向かおうとしたら、linさんのお父さんが自家用車で送ってくださるという。固辞をすれども、彼女も学校に戻るからということで、夜、7時半ごろ家を出発。
二橋を渡る頃までは順調。徐東大街あたりから混んできた。目的地はまだ結構な距離がある。風光村のあたりまで来ても、そこから30分はかかるだろう。卓刀泉をまがり、まもなく魯巷も見えてこようかというところ、赤信号が濡れた夜のアスファルトに反射し、一台の車が信号の前に止まっていた。
と、そのとき、まるで左側に車が吸い寄せられるように、思う間に・・・前の車に「追突」・・・した。前の車のテールランプが壊れ、こちらの車のバンパーが少し曲がった。
表に出ろと前の人が降りてくる。お父さんもと一先ず応戦。濡れた道が滑って止まりきれなかったのだ、と。後ろからも光が拡大されて近づいては追い越していく。なんだか送って下さったのが災いしたみたいで大変申し訳ない気持ち。警察を呼んだから処理に時間もかかる一先ずタクシーで行ってくださいといわれ、linさんと後ろ髪を引かれながらタクシーに乗りA先生宅に向かった。もう9時近い。
道の真ん中の交渉は問題なく済むだろうか、気になりながらも、暗い道を急ぐしかなかった。どこでも○○花園と名のつくところは高級マンション。A先生とお母様に何度も中に入ってお茶でもと言われるところを、待たせたタクシーがあるとお断りして、階段を下りた。実は、ぶつかったときよけた肘が痛い。衝突があったことはナイショ、心をこめていうお礼にちょっと秘密の痛みがあった。
手を振って降りていくと、linさんが「父から電話がありました。片がついたから迎えに行く」と言っていますと言う。最後まで送り届けようという礼儀正しい武漢人のお気持ちが伝わってきたので、ここはもう、マンション区に入る門のところで待つことにした。12月も押し詰まり、とても冷える。
若い守衛さんが守衛室に入れてくれ、電気ストーブに当たって待った。唐草模様の鉄門に入ってくる車を何台か見送りながら、linさんと「忘れられない夜になったね」と話した。
車で送り届けてもらい、部屋にもどって、あったかい紅茶をいれてケーキに添えた。以前、研修医Tさんがふるさと安徽省から探してくださった美味しい中国紅茶だ。
実はぶつかった衝撃で、自分用に買った3つのケーキはかなり哀れなことになっている(m_kさんごめんなさいね)。この際、境が不分明になっていることをいいことに全部食べた^^。それでも、もちろん期待通りのオイシさ。忘れられない夜の、忘れられないケーキの味となった。
それにしても折角の武漢SAKURAさんの初ケーキ、私の場合、何ゆえこんな長編物語になるんだろう?
身を挺して守った?クリスマスケーキは無事で、日本留学経験のあるA先生からすぐ「見るだに美味しそうなケーキ感謝しています。母も本当に喜んでいます」とお礼のメールを頂戴した。
楽しかった新疆のお礼。本来の目的の方々に気持ちをこめた贈り物になったこと、まずはめでたし、めでたし!
また買いにいきたいと思います!