80年代のかけらを探して

mklasohi2007-10-01

29日夜、武漢劇院で上海バレエ団「白毛女(はくもうじょ)」の公演を見てきた。さすが上海バレエ団、踊りの技術も表現力も高く、陶酔の2時間だった。
 古典的革命バレエといわれる「白毛女」は40年前、ある地方にあった民間伝説を元にし、毛沢東の妻・江青が作らせたといわれている。物語は春節の近づく東北の村、農民の娘・喜孤(シーアル)が父の帰りを待つところから始まる。外にはちらちらと雪が舞っている。父が戻り、許婚もあって村娘としての小さい幸せを暮らすシーアルの家に地主が借金の取立てにやってきて、かばった父親は殺されてしまう。
 その後、地主の家で下女として働かされるシーアルだが、地主の牙にかかりそうになり、女中頭の手引きで、夜陰に乗じて地主の屋敷を逃げ出す。
追っ手を振り切って、山奥へ山奥へと逃げ込み、洞窟へ隠れ住んで一年、二年とたつうちに服はぼろぼろ、美しかった黒髪も真っ白の雪女のような姿へと変わっていく。
 これが「白毛女」の名の由来だ。この姿が白く光る雪明りのように凄烈で美しい。
3年後、解放軍がこの小さな村にもやってきて、横暴地主は捕まり、解放軍の兵士となった恋人が山奥へ探しにやって来、再会を果たし、村人も旧封建体制からの解放の喜びに沸く。東の空から太陽が昇り(毛沢東の象徴)、皆、山向こうの太陽を仰ぎ見て新しい時代の到来を祝福するところで終わる。
 典型的な共産党賛歌のバレエで日本にも国交回復後公演にきている。武漢劇場の中にいた年配の人たちの中には劇中歌を口ずさみ、その時代への郷愁に浸っているようだった。私自身80年代に見た北京・対外友好協会の人たちの出で立ちや振る舞い、街、村、人の中にあった中国共産党の色合い、それを肌で思い出して、胸が震えた。
 中国の一時代を感じる上でも、また質の高いバレエ劇としても楽しめます。武漢劇院という1959年に建てられた劇場で観賞するということも味わいがある。
 武漢在住の方に、30日の公演を再度お薦めしようと思ったら、ファイヤーウォールの切れたPCがクラッシュしUPできず残念だった。
 さて、今日から国慶節で中国全土が一週間の休み。書けなかったことをぼちぼちつづっていきたいと思います。