平等に降る雨と羊を巡る冒険

mklasohi2007-07-17


昨日の午後から冷たい雨が降っている。夜は部屋の中で雨音を聞きながら眠った。
この町の漢族の人たちの家の屋根にも、果物売りのウィグル族のおばさんの家の窓にも、茹でた羊を運んでいた回族おじさんの一日の疲れを癒す屋根にも、同じ雨が降る。ネットカフェでゲームをしていた若者の親は彼の帰りを雨音の中で待ち、スカーフの少女の家では何人の家族が眠りにつこうとして、次の朝の挨拶はなんと言うんだろう。
ここではうまく文化は融合しているように見えるが、肌で感じる感触として、ここを中国というにはどうだろう、などと、ぐるぐる考えを巡らせながら…。
 宿舎の廊下は雨漏りがしている。誰にも平等に降る雨。雨漏りが誰かをひどく苦しめたりしないように・・・。
スーツケースの中には日本語版と中国語版の「羊を巡る冒険」、対外漢語の薄い論集も入れてきた。「羊を巡る」は先週たまたま中国語翻訳者の林少華先生とお電話する用があったのと、以前からこの2冊の語法的対照を一度したいと思ってきたからだが、これは殆ど仕事の休み時間の楽しみ的。「笑い」の違いに着目した研究発表をこの前聞いた。博士課程でやりたいことは各方面あってどの羊にするか目移りするが、私の羊を巡る冒険はとりあえず自分で一番好きな新鮮な羊を追いかけることから。
 A先生から「新疆ではぜひ羊肉を食べてください」と言われて来た。実は私は羊肉が苦手。でも、A先生のご親戚に串焼きをご馳走していただいたが、確かに新疆の羊はおいしい。他の地方で羊肉とはヤギ肉で、新疆では草を食む綿羊だからだそうだ。
 雨がやんで来た。外で小鳥が「雨が止んだよ」と騒がしい。
写真は昨夜9時半の街角です。