『活着(活きる)』

この休みに一冊の中国小説を読んだ。余華著「活着(活きる)」。何ヶ月も前に中文系のある学生がいい本ですよと貸してくれたけれど、ゆっくり読む時間がなかった。
張芸謀監督によって映画化もされている。渋谷のル・シネマかどこかでやっていたとき、迷った挙句別の映画を見てしまったので、今回一緒に見てみた。ストーリーは変えられている部分もあるが、それぞれに魅力がある。
映画は圧倒的な、画像の力で物語っていく。「葛優」という芸達者な俳優さん(いま三元牛乳のCMにでている)が主人公「福貴(フークイ)」を演じていて味もある。新中国成立前の生活、文化大革命といった激流に人が巻き込まれていた時代の空気を感じることができる。
 でも、貧しさの端々、人生の様々な情景、情けなさ、ふがいなさ、嘆き、そして喜び。何があっても活きぬいていく主人公と丹念に付き合えるのはやはり小説。人は大きな苦しみをどのように受け入れるか、絶望は存在しないこと、人は活きるために活きるのだ・・・と韓国版の序に作者・余華が書いています。
 角川から翻訳がでているようなので、よかったら読んでみてください。また、作者の短い自伝が日本語で読めます。この環境と人となりが作品を生んだのですね。

 そうこうするうちに、明日はもう3月!