教育部の検査

戻ってから優先順位の高い仕事から飛ぶように片付けていて、心を落ち着けて日記を書く時間がない。
この7-10日まで教育部(中国文科省)の検査は授業時間にも及ぶということで、「教案、年間スケジュール、シラバス、外国学部時間割、名簿」など5種の書類を用意して携帯、10分前に教室に着いているようにとのお達し通り、朝は7時50分に教室に入った。吐く息も白い朝の教室。
 が、朝の教室にはそれらしき人は現われなかった。当たり前、数千人もの教師がいるのにこんな末端にチェックがあるはずがないじゃないとやや気の緩みかけた午後のこと、
7節課の後の5分休み、成田で買ったおかきを配り、ちょっと手洗いに行きもどるや、黒コートのご老人がこちらに向って微笑みながら近づいて来られた。「わたくしは退官した老人です」。湖北訛りがあったので、中央から直接ではなく選任された方だろう。
 それにしても、よりによって私の所、おせんべを食べると言うタイミング・・・。「実はアメリカ人のR先生たちの授業を見ようと思ってきたのですが、年末で終了しているようですね。隣のクラスだったはずですが・・・」
 お正月休みをとったせいではなく、私の今学期の授業はもともと一月まで予定されていた。彼らの授業は年内に終了し、既に帰国や旅の空だというのに、短いお正月を過ごしてトンボ帰りの私にお鉢が回ってくるってあんまりじゃ。
 温厚そうな方だが、さすがにその只者でない気配は私でもわかる。5分から10分程度、言葉を交わし、結局、昨夜9時にコピー屋さんまで走り、足りないものは揃えた5種の神器を一切チェックされることもなく、(中国式goodの非言語行動)親指を立ててグーを見せ、にっこり頷いて出ていかれた。
 人との対峙・・・貴重な体験、そんな風にファイルしておこうと思う。
  多忙の今週を乗り切るとすこし楽になる。