つなぐ仕事

 本日午後、第2回日本文化講座ということで、キャノン武漢支社支社長T氏をお招きしてご講演いただいた。テーマは「日本の企業文化」ということで一時間に渡ってお話しいただき、30分の質疑応答時間を設けた。会場からは盛んな質問が飛び時間を超過してしまった。
日本語を学ぶ多くの学生が日系企業への就職を希望しているだけに、今回は日本語専門の学生だけでなく、副専攻や選択科目で日本語を学ぶ学生にも興味がある学生はどうぞと声をかけておいたので、他大学からも数名聞きに来ていた。ただこれはあくまで日本を理解するための一つの角度で、就職のための説明会とは開催意義は異にしている。
お話いただいたのは、企業の概要、「共生」という企業理念、組織を優先する日本の企業文化、日本企業が求める人材像といった内容。
 市場での販促と地域社会への貢献という「使命」や、やはり企業への忠誠度、それから至極当然のことながら法の遵守を重要項目にあげられることに、学生ばかりでなく、私自身新鮮な発見をしつつ伺った。
 それは、逆にいえば日々待ったなしの日中異文化交流の中で活躍される企業の方のご苦労の内容と重なっていることだろう。
 現在、中国全土に系列会社・工場8つ、全体で3万人が働き、そのうちキャノン中国有限会社は、支店15、従業員数829名(日本人は80名)将来的にはトップのポストも中国人トップへと引き継いでいく予定だそうだ。
 今回は全体の同時通訳をつけずに、パワーポイントの翻訳画面と、4年生に1年生のとなりに座ってもらって通訳をしてもらうということで、日本語に集中できるようにした。
夜、4年のクラス委員と話をすると、それは先輩としての当然のことで、質問もしたいことがあったが、時間が限られていたので後輩たちにその機会を譲ったということだった。こうした先輩の思いやりは1年生にも受け継いでいかれることだろう。そんな姿を見せてもらえたことも思わぬ贈り物だった。
つなぐ仕事。勿論それなりの苦労があるけれど、双方に意義を感じてもらえる部分があれば、小さい橋になる甲斐がある。
お忙しい中、Tさん、学生たちのために時間をさいてお話くださりありがとうございました。