第1回中国日本語スピーチコンテスト

mklasohi2006-07-22

昨日、2006年7月21日(金)13時から東京・大手町朝日生命大手町ビル27階で「第1回全中国選抜 中国日本語スピーチコンテスト」が開かれた。主催は日本経済新聞社、中国政府外郭団体である中国教育国際交流協会、日本華人教授会の3者。(以下個人的なメモの意味が大きいので多少長くなります。)
 このコンテスト、中国全土の大学生2800人の頂点に立つ17人の戦いといえるが、ここまで来ると誰が優勝してもおかしくない。前日のホテルで顔合わせした段階から教え子だけでなく皆がその力を出せるようにと願った。
優勝は大連外国語学院日本語学院3年生の黄明淑さん。(賞金15万円)。以下二位、三位そして協賛のJFEホールディングス特別賞3名が選ばれ、残念ながら教え子の入賞は果たせなかった。
第1部共通テーマ(13時30分〜15時25分)「私から見た日本」、「私から見た中日友好」スピーチ時間1人5分。第2部選択テーマ(15時45分〜16時45分)は「私の誇り」「好きな言葉」「幸せを感じる瞬間」「思い出」「大切にしたいこと」の5つのテーマから抽選、準備時間20分、スピーチ時間3分。
1部の共通テーマでは「日本人の美点」や「心と心の交流を」、「自分の目で見ることの大切さ」が訴えられていた。2部の即興スピーチではテーマによって多少話しやすさの違いもあり、後半戦ということもあって、即興でうまくまとまられた学生がやはり入賞できた感があり運も手伝った。1位の黄さんに関して、私は「語彙が豊富」とメモをしている。
共通スピーチでは工場での通訳体験や日本からの留学生や先生との交流など具体例はそれぞれであり、そうした意味では留学経験のある選手などが説得力を増すが、微妙な問題を含むテーマであるから、全く新しい発想によるスピーチは殆ど聞かれなかった。出場4分の1ほどの学生が日本への短期留学経験者で、それ以外は始めての日本であるから、テーマは私の「目」から見たとはなってない。日本へ長期留学をした学生の主張ならもっと生の日本像が反映されただろう。
審査員は東京外大教授・池端雪浦審査員長以下8名。中国大使館一等書記官や、中国教育部高等教育部、国立国語研究所国際交流基金からまた作家の莫邦富さんなど。評価の対象に発音や文法、パフォーマンスがあるのは予選の評価基準と同じだが、内容の面から「極右は審査員は評価しない」と明確に説明されたのにはちょっと驚いた。
スピーチ内容以外で感じたことは、このスピーチ大会のもつ意味合いということだ。まず、中国の日本語教育上の効果という点。2,800名という母数の算出方法について説明はなかったが、日本本選17名の戦いというのはエリートが予選会でピックアップされた結果である。実際の中国の大学では300校40万人の日本語学習者がいると王毅・中国大使からも発表があったが、このスピーチコンテストという活動が各教育機関での日本語教育へどう反映されるか、どのような教育的な意味をもってくるかは気になるところだ。このことは中国の日本語教師のMLでも話題になっていた。通知の徹底や関係教師の意識の持ち方でも変わってくるだろう。
次に日本での意味合い。主催者挨拶で日本経済新聞杉田社長はこのスピーチコンテストは、昨年の反日運動の高まりから延期となり二年がかりで「ようやく開催できた」という感慨を述べられた。そして今年130周年を迎える日経新聞は、日本の高校球児に甲子園大会があるように、この中国全土の大学生を対象としたスピーチコンテストを重要な事業の一つととらえているというお話だった。関係者の話では、八月末に日経で特集が組まれ、NHKでの特番も予定されているという。実際はおそらく日中関係の風向き次第で扱いも変わるだろうが、日本のメディアがどのように報道し、今後どのような存在となっていくのか行かないのか。
とまれ、4月からの選手の緊張と努力は一区切りし、選手たちは今日から日経新聞JFEの工場の見学、日本の大学生との交流を皮切りに、ディズニーランド、箱根、京都等への旅行を楽しみ、27日に帰国予定。すでに日本での楽しい1週間が始まっているだろう。
選手の皆さん、日本を楽しんでください。そして中国で待つ友達に「私の目から見た日本」の土産話をしてくださいね。コンテスト出場、ご苦労さまでした。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060721AT1G2102X21072006.html
左下は流暢な日本語でご挨拶された駐日特命全権大使王毅氏です。