5cm小さい国から

mklasohi2006-07-10

今日は一体何日・何曜日なんでしょう?
杭州空港でキャリーバックを持ち上げたとき腰を痛めて、何とか成田、渋谷、家へとたどり着いて、それからはタイムトンネルの中で休養。話をして→寝る、新聞を読む→寝る、本を読む→寝る、TVを見る→寝る、電話がかかる→寝る…と何かしている時間より寝ている時間が長くて今日が2006年7月の何日なのかさっと答えられない私です。
 そんなわけでまだ外には出ていない。タイトルは7月6日5時に成田に降り立ってリムジンから見た日本の感想。家に電話を入れるまもなくバスに乗り込み、そこから見た日本は空港内のバス停に止まるたび、係員さんが深々とお辞儀をしてバスを見送る姿。運転手さんも手を上げて答えている。猛牛のような闘牛のような武漢のバスと大違い。眠い目をこすりながら、千葉の地名が走っていく高速道路、湾岸から都内へ入る風景に見入ってしまう。車はきれいに磨かれ、整然と滑っていく。小さな川が江戸のお堀を思わせ、暗い水にビルが映り、ビルの中にある会社の灯に照らされた上司と部下の絵本のような、舞台コントのような1コマ1コマが見える。
新橋演舞場、六本木、青山、光がガラスに反射する眩しい東京。横断歩道を渡っていく人、道を歩く人の身なりがよくて、でもおそらく中国人と平均して5cmは小さい。そしてそれにあわせるように、ビルも小作りでビルとビルの間隔が狭く、火事でも地震でもひとたび起こるとお江戸の町を焼き尽くしそうだと心配が浮かぶ。
スイフトガリバー旅行記の小人国って日本のことだっけ?開国の足音の聞こえる江戸に到着したアーネスト・サトウの見たものはどんな日本の姿だったんだろう?Lost in translationの画像が重なる渋谷からちょっと奮発してタクシーに乗る。運転手さんの丁寧な言葉遣い「近くなりましたらまたおっしゃってください」。頼みもしないのにラジオをクラシックにあわせてくれ、涼やかなフルートの音の向こうに代官山のオープンカフェやショーウインドが見えてくる。明かりのついたきれいな箱庭。1年5ヶ月でこんなに目の尺度に変化があるとは思わなかった。5cm小さい国。
 家では、まずシッポのある家族がまるで朝、出かけてもどったように出迎えてくれた。彼には時間の感覚がないのかな。「あれれ、お帰りっ。お腹をなでて」とひっくり返る。我が家がなんだか惑星ソラリスの家に見える。確かに見慣れたうちがどことなく違う。パソコンが新しくなっていた。