やさしい時間

mklasohi2005-06-21

 市場は西瓜で溢れている。
夜になって、「先生これから伺っていいですか」と低めの折り目正しい声。卒論の最後を手伝った学生だ。
担当教官から、日本に出張にいくので、○○君が提出できるよう見てやってほしいと電話があったのは、期限の20日ほど前。ええっ? 読ませてもらうと4分の3近くは出来上がっているが、最後のまとめがいま一つ、それと柱の章の1つがあらすじ紹介に終わっている。2週間では、新しいものに手を出すわけにいかないから、今まで集めたものを「論」として如何にまとめるか、画竜点睛の目、バランスの悪いところをアドバイスして帰した。すると、5日後、青く澄んだ目を入れて持ってきた。
 その後の卒論の評価法は”竹のカーテン”の中だったが、嬉しそうな声で高得点をとれたというので、ほっ。澄んだ目をいれられる彼の実力。
 来週火曜日には、上海に旅立ち、新しい生活が待っている。誠実で、もの静かに話す彼が「地下鉄で通勤します。上海に来るときは連絡してください」と都会の生活に思い描く夢。いろんなことを話しているうちに、ちょっとだけ、彼の心の中に託したものもある。それは秘密。 
 元気でね。やさしい時間をありがとう。