夢のあと

日曜日は上海歴史散歩会に参加、日本租界のあったところを歩きました。
一度連れて行っていただいたことはあるのですが、専門的に研究されている東華大学陳教授のご案内で会の方々とご一緒に歩いたので、ただ通りすぎてもわからないものをいろいろと見ることができました。

どんどん取り壊されたり、別の用途に使われたり殆ど日本を感じるものは残っていないに等しいのですが、
そのことは、寂しくもあり、それでいいのだ…つわものどもが夢の跡ということも強く感じました。

特に、塘沽路の小さな一角は本当にいつ取り壊されてもおかしくない本当に廃墟と言えるようなところ。それが当時の日本町の歓楽街だったという。

がれきの上に咲くかぼちゃの花を写して立ち去ろうとすると、戸口の店の痩せたおばさんが親切に、中庭は見たか、見たかと言ってくれるので、何かありそうにもないがれきを通り、奥へ入ってみてびっくり。
まだ立派に人たちが住んでいて、妓楼と思える構造が残り四方を囲んで上にぽっかりと青空が見える。
そこからは、当時の女郎屋の二階から手を振る、体を売って生計を立てていた人や、適当にはぶりのよい日本人の男たちや、笑い声や酒の匂いや、そんな物音がしてくるようで、しばし立ち尽くしてしまった。

多くの参加者の方は、知らずに行ってしまい。私だけ最後だと、はやくはやくと旗を持った人が呼びにきてくださった。すみません。

国の中に国があった時代の、つわものどもが夢のあと。

上海に対しては日本人的ノスタルジーをどうしても持ちがちだが、それは歴史の中にだけで、
消え去っていけばよいものだと
そんな風に肌で感じた時間だった。