中国とサービスということ

昨日、九州大学のドクターコースに留学中のS君が一年ぶりの里帰り、顔を見に寄ってくれた。
学部のときに銀行から借りたお金の利子が一年で3000元以上にもなったのだそうだ。16000元借りて1年で3000元の利子って日本であり得ますか?高利貸しですね中国の銀行。それで慌てて漢口の中国銀行へ精算しにいくのが大きな目的らしい。
院の授業で私の話たことに影響を受けて、博論のテーマ決めをしたということで嬉しいような責任があるような…。
いろいろお礼にご馳走してくれると言うが、「出世払い」という言葉を教えて久しぶりの武漢料理をご馳走した。

それから12日のお月見の晩、新聞記者のYj君が記者仲間の友達を連れて一緒に月見をと来てくれた。
休みの日にも記事を書かなくてはならない記者家業、書き終わって渋滞に巻き込まれついたのは夜8時過ぎ。折角の「旗日」、タイ人修士の知り合いも一緒に、4人で大学の近くに2年ぐらい前にできた比較的高級な「湖錦酒楼」で晩御飯にしようということになった。
入口からしてなかなか高級感を出している。案内されて、メニューをみる。以前、武漢大学のそばのお店に入ったことがあるのでそこで食べたおいしいお魚料理などを注文。

ウェートレスのお姉さん(おばさま)厨房へ行きしばらくして戻ってくると「魚料理は売り切れました」。その魚料理は麺料理でもあり、主食にもなるはずだったから、では改めて、河南省出身のYJ君の友達が北方系の人らしく麵好きだから、最後の主食は麺にしようと注文。すると「売り切れです!」。

最初の料理がぽんとテーブルの真中におかれた。服務員さんに、お箸とお皿をくださいというとチラ見しただけで無視。見かねたYJ君自らが取りに行ってみんなの分を並べる。
「高級店なんだからお客さんがやるのはおかしい」と言うと、「僕はきにしないんですよ」と。そういう問題じゃなくて…。

料理が進むにつれやはり主食がほしい。別のウェートレスさんに聞いてみると、「麺だと30分かかります」。え、さっき売り切れって言ったけど。「20分待てますか?だったら麺でも大丈夫ですよ」

つまりおばさまウェートレスさんは、すでに8時半をすぎ、麺など注文された日には仕事がそれだけ遅くなるとだから「ない」と嘘をついたのだ。

この店の高い価格設定はレストランの味や構えだけではなくてサービスにも反映されるべきもの。8時半ではそれほど遅いうちにははいらないはず。普通10時ぐらいまで大丈夫だ。

わたしがちょっと憤慨していると、YJ君、
「いま誰もこんな仕事をやりたがらないんですよ。以前月800元だった給料が、今は1300元ぐらいなんです。そしてその給料は店の売上とは関係がないと思っているから、自分が早く帰れればいいんです。中国は5000年いつもたった一人の皇帝のために、みんなが仕えてきました。自由の時代になって、誰も人に仕えたいとは思わないんです」。

日本も人が嫌がる3K仕事などというものもある。でも「人に喜んでもらうことを歓びや誇りとする人たち」は大勢いる。皇帝どころか「お客様は神様」がサービスの基本の日本。中国にすんでいると痛いほどこの差を感じる。
中国のサービス業はなんだかいびつな形で発達して行きそうな気がしてしまいますね。

お料理自体と、3人の若者たちのお話は面白かったのですが…。