莫言氏講演会

mklasohi2011-07-29

おととい夜、京橋の中央公論新社で行われた中国人作家莫言氏の『蛙鳴』刊行記念講演会に行ってきました。莫言氏は中国でもっともノーベル文学賞に近いといわれる作家。
張芸謀監督の映画「赤いコーリャン」の原作者です。私は文学の人ではないので、とくに詳しくないのですが、たまたま手にした、前作「転生夢現(中国語名:生死疲労)」の言葉についてちょっと興味をもったため,
それなので、終わって質疑応答の時間の最後にちょっと質問させていただきました。
「転生夢現」で主人公・西門閙がしゃべっているのは山東方言(高密県語)のかどうかということ。原文をみるとほとんど、普通語としか思えないが、それを翻訳者京大名誉教授吉田富夫先生が「わしは・・・じゃ」と(西日本の)「老人語」で訳されていること。

吉田先生は広島ご出身だからそうしたが東北のことばのほうがよかったかもしれないともとおっしゃった。
莫言先生は、日本語版で西門閙が広島弁をしゃべっているとは知らなかった、確かに方言の要素をちりばめた普通語で書いています、とおっしゃった。この問答、中国語だったので緊張しました。

新作『蛙鳴』一人っ子政策の中、取り上げた赤ちゃん5,000人、中絶させた女性もまた同様の産婦人科医(助産婦)の実の姑姑(おば様=おじいさんの兄の娘)をモデルにして書いたそうです。
小説を読まない人も増えてきた情報化社会の中の、作家の使命は「忘れられない人物を描くこと」とだそうです。取り上げることと殺すこと。
そういう質の矛盾に生きる人が日本より多いのではないかと、思った夕べでした。

Youtube莫言氏のお話が見られます。(日訳付き)