はたはたと、天と地と祈り

mklasohi2010-08-09

東京さんぽ2をアップする前に、忘れないうちに青海省でみた万国旗のような旗のモニュメントと西安からの飛行機でであった人のことを書いておきます。

今回、観光バスの中でもご同行させていただいた神戸大の定延先生とお話してばかりいて、これが何なのかについてガイドさんの解説を聞きそびれていた。
ホテルの同室になった新疆タリム大学の孫先生に(大変よい方でした)に、これは何ですかとお尋ねした。

チベットでは天と地と人とが一つになると考えられ、一つ一つの布にはよくみればお経が書かれているのですよ。風で吹かれるとそのお経が天と地と人々ハタハタと伝わっていくと信じられています」と教えていただいた。
孫先生は擬声語を多用される方で、フォンツイダフラーフラーと、まるで目の前で風に乗って渡っていく祈りが聞こえるような気がした・・・。

それから、西安から西寧に向う飛行機の中でのこと。

三人並びの席の通路側に腰を下ろそうとしたとき、カーキー色のズボンのおじさんに「女の人の間に挟まるのは気まづいので席を替わって欲しい」と頼まれた。
「わかりました」と真ん中に座ると、窓側の女性がにっこり。福建省の女医さんでいまは薬の会社を経営、製薬関係の学会で青海省に行くところだということだった。

カーキズボンのおじ様も、話しやすい方で、ふと見ると、首からお数珠のようなものをかけられている。「唐突な質問で失礼ですがお、尋ねしてもよろしいでしょうか?なぜおそれをされているのですか?」と聞いた。

すると「私は仏教写真家です。特にチベット仏教と人々の生活を写真に撮影し、日本にも私の作品が展示されていますよ」ということだった。

そして、「4月に玉樹村で地震が起ったが、村民は未だに大変な生活を強いられている。海抜4000メートルの高地で夜になると冷えるところだ。今回、数百枚の毛布とダウンジャケットを寄付してもらってそれを村に持っていくところです」と。

それを聞いてどのように寄付すればいいのかとたずねると「今回は個人の古着などの寄付ではなく、私は頼まれてアパレルの写真も取ることがあるので、ある会社から新しい衣類を寄付してもらって持っていくところ、後ろに社長も乗っていますよ」ということだった。

今年4月に発生した青海省玉樹村の地震
上海万博直前とあって、08年の四川大地震にならい一日追悼日がそそくさと「終わって」、四川大地震に比べるとメディアの報道も、人々の印象の中でも薄れて行った。


西寧の飛行場から玉樹村まではまた数時間の車での旅が待っているということだった。個人の力で最大限できることをされているこの写真家の方に「道中の安全をお祈りいたします」と頭を下げてお祈りのことばを送ると、手を上げてうなずいて行かれた。

はたはたと。風のなかに祈り。天と地と人と。