5元の価値

mklasohi2010-05-24


昨日、かねてから連れていきますとお約束していたアメリカ人の先生を連れて京劇を見に行った。
休みがあるときでないといけないからやっとだ。
場所は武昌にある湖北省京劇院・京韻大舞台。2時開演。

チケット売り場で見ると、席は20元、40元、60元。北京で見たときは120元だった。中を取って40元の席でどうでしょうと話していると隣のおじさんが、今日のは学生の演技だから5元だよと、教えてくれた。5元60円?
劇場に入るなり、聞こえてくる賑やかな胡弓やチャルメラの管楽器の音。この音の響き。

3階の待合ロビーでは出番の学生たちを先生が「臉譜」という隈どりをしてあげているところだった。右は、丑(チョウ)と呼ばれる道化役の男の子。「写真をとってもいい?」と聞くと笑顔で応じてくれた。舞台では時を告げる道化だった。
壁に張り付いて隈どりをしてもらっている男の子はハリのあるいい声で盗馬の主役を演じた。

                     

         
                          


                                                                                       

京劇は独特な発音のため、中国人でも若い人は全然聞き取れない。ただ、電子字幕があるので漢文が読めるひとは少しなんとかなります。
この字幕は「小商河」という河に追い込まれた武将楊再興の台詞。

「空をうずめて降る雪が激しく私の怒りを燃やす。」 「雪」が私の怒りを「燃やす」という表現がすごいですね。

これは修辞上、「通感」はたまた何かと考えてしまいした。そんなことはさておき、こちらで追い込まれ馬にまたがり行く姿をご覧になれます。チャルメラによる馬のいななきが壮絶です。

ほかには恋愛もの「売水」、「坐寨盗馬(」などだった。



この日最も印象的だったのは、湖北省京劇院の学生(高校生ぐらいの年)の演技に劇場の観衆(のうち80%ぐらい)のお年寄りたちが盛んに拍手をし、見せ場になると「ハオ!」と大きな声をかけていたこと。
役者の卵さんたちには大変大きな励みになったことでしょう。

わたしの学生は京劇というと殆ど食わず嫌いで、「あんなもの」と言います。が、こうしてお年寄りがこどもたちを褒め、子子孫孫受け継がれていく文化の華。それをたったの5元で感じることができた嬉しい午後、でした。