一年の成果

午後はまた夜まで6時間の授業がまっているが、午前中、外事処が外教のために車を用意し、ドイツ系スーパーに行くことになっていた。わたしも1年半ぶり、あれとあれ、そして上海製ながらお味噌が買えるからと参加することにしていた。ところが集合時間の変更に気づかなかったこと等が重なり、車が出発してしまった。ブッブー。あとの祭。買えなかったものを思いつつ、まどの景色を眺める。あるよねこんな日も。
かけなかった日記を書く。

昨夜は、サバティカルで来られていたHG先生の別れの宴をY先生ともに、東湖を眺めるレストランで開いた。HG先生は私の母校の助教授、アジアの近代史がご専門。共通の知り合いもある。
聞けば、毎日、漢口の公文書館に通い詰める日々だったそうだ。コピーをとれば済むところを、マイクロフィルムになっていないため、劣化した紙に負担をかけてはならないと、手書きで書き写されたそうだ。歴史家の良心。そして、閲覧は途中で共産党からストップがかかった。
「でも、大事なところは書き写しましたから」。
定時にでて定時に帰る。日々うまずたゆまず―これが本当の研究者の姿だ。

旅行のお話も聞いたが、一番楽しかったのは?
「部屋から当時の共産党司令部があった珞家山を眺めて暮らせたこと」。珞家山は武大の中にある丘ほどの山。
文書館に通い、窓の外に珞家山を見て過ごした一年の成果は帰国後よいお仕事にまとめられることでしょう。

窓の外の木々が日々、薄緑の葉の数を増やすように、私も倦まずたゆまず過ごしたい。