わが道を走る人

mklasohi2008-11-01

早くも11月。今年も残すところ2ヶ月ですか。
武漢大学の中国人の先生のところに届けるものがあって行き、その帰りにマッサージに寄った。雨の街角、マネキンは温かそうなコートを着て、靴屋にはブーツが並んでいる。
早めに終わるということで私が最後のお客さんだった。中国伝統医とマダムな感じが合わさった場所で、昼間は武昌にある大きな病院の皮膚科で診療をしている女医さんJ先生が、平日は夕方から、土日は午後から来て鍼をうってくれている。とっても良い方で、いつも行くと必ず何か冗談を言って互いに笑う。たまに季節の健康留意点が書かれたメールを頂戴する。
今日はこれで終わりだから大学にいる息子さんを迎えに行くついでに乗っけて行ってあげますよと言ってくれた。息子さんは科技大で建築を学んでいる。
デパートの前に停めた車に乗り込むと、車はゆるゆると動き始めた。いつも武漢の荒っぽい運転手の運転に乗っているから体感速度が違うなぁと、よく見ると時速20kちょっとだ。超フタバマークの運転。が、実は運転歴6年なのだそうだ。
「こんなにゆっくりの車には今まで乗ったことがないですよ。文雅(優しく教養のある)運転」と言うと「あははは、面白いなぁ」と嬉しそう。
ご主人も同じ病院の外科医で、毎晩遅くまで病院に詰め、息子さんは大学生で寮住まい、早く帰ってもやることが無いから誘われるままデパートの上にあるちょっとマダミーィなサロンで鍼医をしているのだそうだ。「本当にこの仕事が好きだからいつまでやっていても飽きないの。仕事の虫だって」。そして時間があったら「本を読む」のだそうだ。それからたまの旅行。今年は誰もいないチベットに行ってきた。本は何を?「小説は読まないの。学生のときは小説も読んだし、ヘーゲルとかフロイトとか好きで…」、じゃ、今は雑誌?「いいえ、医学書
あー?!仕事と仕事の合間に医学の専門書を読んでストレス解消をする人がこの世にはいるのだ。「患者さんの訴えを直してあげられると楽しいもの、あはは」…のろのろ。「交差点もよくわからないから前の車についていこう」などとつぶやいている。
キャンパス内に入ってから、対向車に「遅い、何やってんだ!」と思いっきり怒鳴れた。ゆるゆると走る車とJ先生。怒鳴られても気に病むことがない。
自分に恥じないきまりの中で行動して恐れることがない。私もどちらかといえばそっちだが、有段者に出会った感じ…。