びっくりしたなぁ

先日の日中環境調査プロジェクトの視察で到着予定の友人が、上海で3時間、足止めになり、迎えに行った武大の学生さんもまた武漢天河空港で足止めのまま、夜が更けている。

午前中はこれと別の交流の橋渡しがひとつあったが、夜は連絡が来るまで社会学科の聴講に行っていた。
指導教官から社会学系、新聞系も時間があれば聞いておくよう言われたからだが、社会学系の男子学生のお勧めの「政治社会学」を聞き行ってみるとびっくりだった。
豊かな知識に裏付けられたお話が枕にあって、次にやおら「90年代以降の中国は社会主義国といえるだろうか」という問い。「中国特色の資本主義というべきでしょう。社会主義の失敗の原因は…」と始まったんだもの。日本の大学の講義ならば何も驚かないが、ここは共産党一党支配の中国、かつ大学でも大学院でも博士でもマルクス主義が繰り返し、中国人学生の「必須科目」として教えられる国だ。
マルクス主義とは、乗り遅れた2台目の車(一代目にはイギリス、フランス、2台目にはアメリカ日本)に追いつくため、たち遅れた民族にあたえられた思想的武器であり、前2台の車とは別の選択の必要があった。社会主義の失敗というのは遅れた民族が世界に挑戦した結果もたらされた失敗だ。英国の学者トインビーは言った。社会主義革命はまるで急行の軍隊に過ぎなかったと。」また、毛沢東蒋介石の思想は90%同じ、孫文はやや2人とは離れているが全て民族を奮い立たせようとした点ではなんら変わらない…。
痛快なる言説。
一方でマルクス主義を教えつつ、一方でこのような授業が成立しているとは。先日も中国科学院の方の話を聞いたばかりだが、この複雑な思想構造を若者はどう乗り越え、社会の中で矛盾はどう解説されていくのか。今後もいろいろと中国にある問題を語られるそうなので、出てみようかな。

…やっと到着し出会えたと空港から電話。よかったよかった。宿題をしつつ一時間後の到着を待つとします。