ナタ王子

秋の虎がよっこらしょと腰をあげ、10度以上気温が下がった。青空で気持ちがよかったが、8時からの授業は、上着を羽織っていった。今日から大1の授業も始まった。
 昔、先輩日本語教師の「同じコースを持つときは、新しい課題を自分に与えている」という言葉を聞いて、なるほどと思って真似をしているが、今年は「コミュニケーション力をUPさせる」ということをテーマにするつもりだ。それがいったい何であるかを考えることも含めて。
 会話を成り立たせるには、一方的に話す力だけではだめで、質問したり、答えたりも含め、相手に関心を持って聞く必要があると強調してきたので、人のスピーチなども聞く姿勢がつき、それが2年生全体として能力を上げたのではというのがわたしの仮説。
 ところで、この2年生に「日本名」がほしいと頼まれ、連休前補講の先々週の土曜日、こんな日は前半をつぶしてもいいかと一人ひとりの名前を考えた。
 殆どは、本人の名前の一部をとったもので、名前の漢字が日本名に馴染まないものは誕生月との関連、たとえば「弥生」や「楓」さん、それぞれ、雰囲気にあった呼び名なったが、林(りん)君を皆が「小林製薬」がいいと言うので、それでは吹き出しそうだし、「小林さん」に落ち着いた。それでも呼ぶとき笑いを抑えている。
 ある女子学生が「静香」にしたいと手を上げると、「静かではありませーん。賑やかで〜す」みんな猛反対。保留にして、勉強家の学生に「文子」はどう?と提案していると、「ウェンツ、ウェンツ、彼女にぴったり」と「静香」ちゃんをさす。
「文子」は中国語の蚊「蚊子(ウェンツ)」と同音。見ると、本人も両手をひらひら蚊のように動かして、嫌がるどころか喜んでいる。こうして蚊の「文子」さん誕生。
 飛び級で一緒に入学した(1歳下)の男子学生はみんなの推薦もあって、中国の伝説のやんちゃ坊主「哪??太子」の翻訳で「ナタ王子」に。日本で流行の「なんとか王子」のもじりでもある(笑)。
卒業後も、何時までも「ナタ王子」と呼ばれるとしたら楽しいですね。