通じない世界でつうじるもの

mklasohi2007-07-19


宿舎に入った日から蚊に悩まされてきたので、蚊取り線香を買いに行った。あまり蚊がいないようで、どの店でも「没有(ないよ)」と愛想がない。スカーフをかぶったウイグルの痩せたおばさんの店に入ったら、中国語が通じない。
 プーンと言いながら虫が飛ぶ様子を表してみたら、殺虫剤を指差して「あれか?」という感じ。当たり!でもあんな大きな殺虫剤はほしくないので、小さく丸を作ると、これだろうと奥から出してきてくれたのは、ハエ取り紙だった。うーん、おしい!笑いながら首を振って、小さくぐるぐる輪を書いて中国語でもう一度「蚊香(かとり)圏圏的(ぐるぐる)」と言ってみた。おばさんは、何かひらめくものがあったようで、あ、と、もう一度店の奥に入って、白くて、ぐるぐるに巻かれた「ロープ」の一抱えを持ってきてくれた。ぐるぐるには違いないが…。
 私が笑うと、そのおばさんもちょっと恥ずかしそうに笑った。中国を旅してこんなに中国語が通じない人がいるところは初めてだが、それが思ったより楽しいのはおばさんがいい人だったからかもしれない。
 回族のロシア人のおじさんとも話しをした。通じるか、通じないかよりその人と交わした時間の偶然が楽しい記憶になっていく。
写真は新大の女子寮の前、ふとんを干して本を読む女子学生たち。武漢にもある風景だけれど、何かが違う。涼しいだけで快適だが、昨日はバスの中で席をお年寄りの席を譲る青年も見た。武漢を離れるとこうした生活のやさしさが増すような気がする。