百感交集(複雑なきもち)

磨山ちかくの水上レストラン、そのあたりの村には農家料理(農家菜))と名のついたお店もいくつかある。自転車を飛ばしていたら道の途中に店の塀に沿ってたたみ一枚ぐらいの大きさの看板が幾枚も並んでいる。
 かなり写実的な牛の絵、その周りにトマトや青菜などの野菜が取り囲んでいる(牛鍋かな)。鶏と野菜(鳥鍋)、家鴨と野菜(鴨鍋?)まるで写真のような絵だ。うさぎと野菜(ふーん、うさぎ鍋ね)魚と野菜(湖の魚の鍋かな)・・・犬と野菜。・・・いぬとやさい。きゃー。周りの野菜が花輪のように見える。
考えてみれば「羊頭狗肉」(羊頭を掲げて狗肉を売る)という言葉もあるぐらい、犬肉は伝統的に食べられてきたのだ・・・でも、わんこ派にはなかなか刺激的な看板。
ところで中国で買った「成語詞典」(内蒙古大学出版社)、100円ショップのような「2元ショップ」で5元だった。半額にディスカウントされているだけあってところどころ例文に明らかな視点がある。
封建時代の深窓の令嬢は日がな一日刺繍ばかりして外にでることもなかった(足不出戸)。自己満足に陥る人間は主観主義の過ちを犯さざるを得ない(自以為是)。歴史的に、搾取階級の統治集団内部は統治権を争い、父子兄弟相殺し合うことも珍しくなかった(自相残殺)。小武は勇猛果敢機転も利く偵察兵だ(智勇双全)。個人の利益は人民の利益に服従しなければず、人民の利益は至上最高のものだ(至高無上)。小康を保っていた父は国民党反動派に殴られ気息奄々だ(奄奄一息)。中国朝鮮人民の友情は固く破られることはない(牢不可破)・・・日本に関するものもありますが止めておきます。
 新しく一番売れているものと比較すると面白いかもしれない。辞書の例文に時代の思想が反映されるのは不思議ではないが、一方的な感じの例文があるこの成語辞書が、百円ショップの棚に去ったことに何だかほっとする。