岩松が見た日本

三月の下旬からご紹介したいと思いながらできなかったのが、CCTV1「東方時空」のコーナー「岩松が見た日本」である。これは、CCTVの記者・白岩松氏が温家宝首相来日に先駆けて20日間にわたって日本を取材したもので、かなり日本を正確に伝える大変画期的な番組だ。ただ実は私も偶然、TVで「環境保護の国・日本」の回を見て、その今までにない中国の報道のありかたに驚き、他の回も見たいとHPで探したのだが、整理上の問題なのか、反響上の問題なのか放送の中身を見ることができる回が少なくご紹介が遅れた。中国語がわかる方はいくつか動画で見られるものがあるのでどうぞご覧ください。最終日4月6日放送「細かいところに行き届いた日本」は総括的で、見るとその伝えようとしたものが何かが感じられる。
 取材は政治経済文化の領域から様々な有名人に行われており(中曽根康弘、村山富一などの政治家また安部総理夫人、浜崎あゆみ小室哲哉といった芸能人、村上龍渡辺淳一などの作家、、御手洗富士夫経団連会長、日本に留学中の中国人、相撲の舞の海親方)またアニメなどの日本文化の紹介、環境、交通、福祉など多岐にわたり、そのメニューをみるだけで、現代日本理解のための辞典とも言える取材が行われたことがわかる。
 上記動画ではNHKが逆に岩松氏一行を取材したBS等の番組も含まれ、岩松氏ら取材側のまとめ方の苦労なども正直に語られ、岩松氏のジャーナリストとしての観察眼、番組関係者の表現の工夫が興味深い。取材の前には日本の5大新聞から中国に関する報道を調べ、毎日30件ほどの中国関係の報道がかなりの紙幅を取って掲載されていることに、中国の報道量と大きな違いが存在することを指摘し、最後は日本の「細かいところに行き届いた社会」に学ぶべき、理性は力であると結んでいます。
 日本に関する報道があると牙をむき出したような過激なコメントが多い中で、番組に対するコメントもこうした番組を歓迎するといったものが多いのにも驚く。残念なことに現在全部の取材・放送分の動画や内容を見ることができない。全てが掲載される日を楽しみにしている。