Kさんのトマトパスタ

夕方自転車で武漢大学まで行った。緑も日増しに濃くなる。自転車を漕ぐには丁度よい季節。1時間程度のバイクだが、古くて威厳のある校門にたどり着いてからがなかなか遠い。ほぼ平面の並木道が続く科技大と違って、武漢大学は山だ。何度、人に聞いて、山坂越えたものか。まるで山の公園の中に、中国風の校舎が建っているような大学。道も曲がっているから、教えてくれる人も上手く説明できない。
 用事を済ませて、留学生寮に住むKさんに会いに行った。武漢在住7年目?私よりずっと若いけれど、武漢の先輩で、武漢を愛する心、日本と中国を愛する心がその穏やかなお人柄の中にしっかり静かに畳み込まれている。
 出発前、晩御飯は何が食べたいですかとメールをもらった。西洋料理なら、僕がパスタかグラタンを作りますと返ってきた。「え?」全く予想外の展開。手料理とは申し訳なく辞退しようと思ったが、留学生活で作るパスタ?に惹かれ、お言葉に甘えることにした。
 お部屋は台所、シャワー室、居間と4人の個室からなる。一人になりたいときは自分の部屋にこもればいいし、寂しければ居間で他の留学生と話ができる。23人目のルームメートを迎え、2人の日本人学生と韓国人学生1人で4人、トマトソースも以前同室だったドイツ人の人直伝とのこと。
 頃合をみて、来て一ヶ月の女子学生2人もお皿とフォークを持ってやってきた。時間差で、同室の男の子たちもご馳走になることになっている。本当に面倒見がいい人だ。ソースにはトマト、ひき肉、たまねぎと茄子が入り、ワインとオレガノも入っていい香り+美味。おなかもいっぱいになり、山を下って東湖の前にでる。湖の前の門まで送っていただいた。
東湖を見下ろす武漢大学の山で、若い男性手料理のトマトパスタをご馳走になるって、そうあることじゃないですね(笑)。夜の東湖には明かりがちらちらと美しく、若葉は花のように柔らかく街灯に反射し、自転車も軽かった。
 Kさんご馳走様。謝謝。