人肌の自転車

今週一年生の授業も始まり、本格的に忙しく教室と部屋を行き来している。一つには自転車3台盗まれて以来、ずっと歩いているからだ。聴講している授業もいくつかある。 来たばかりのときは、考えられない遠さと思ったけれど、けっこう縮尺は変るもので、正門までの延々続く並木道もさほど苦にならなくはなった、とはいえ、木曜の授業は朝一で東9号館、そして次のクラスが西5号館。切れ目に30分の休みがあるが、歩くと40分ちかくかかる距離を移動せよとの時間割。終わると同時に教室を飛び出さなければならない。
 校内トラムカーは当てにならないし、変更をお願いしたが、前後の授業の関係で、結局わたしが動くか学生達が動くかの2つにひとつ、私が動くことにした。東5号館が工事中なのがいけない。雨の日はひさんだあ。
 中古を買おうと先日、自転車屋さんに寄ったが、武漢では盗難車が多いので、中古自転車は販売が禁止になったという。中古の自転車がほしい人は沢山いるのだから、ブラックマーケットを大きくすることになるだけじゃないかなと思うけど。仕方なく、章さんの知人に聞いてもらい、また学生に大学ホームページのBBSに「80元で自転車買います」のお知らせを出してもらった。が、新学期のせいか未だ売主は現われない。
 そんな溜息をもらしたら、二年生の女子学生が、手に入るまで使ってくださいと貸してくれることになった。捨てる神あればひろう神あり?悪いことばかりに終わらないからこの中国で暮らしていける。助け合いの精神は日本より濃いだろう。
 ご面倒をかけてはと自力更生で頑張りがちな日本人の私だけれど、人は社会の生き物、支えあって活きる人肌のよさをしばし味わうこととします。