日本語の冒険

まばらの木の葉の並木は日差しが明るく道を照らすが、冷気の上着を纏うような気温、隙間から寒さが刺し込んでくる。
 一級試験を終えた3年生の作文の授業は、気分転換の意味も込めて、俳句作りをした。17音の短詩の中に花鳥風月、映像の現れるもの、音が聞こえてくるもの、達意の句もあれば、激情のあふれる物もあることを説明。季語や切れ字や古語表現もにわかには難しいので、五七五の17音節で季節感を出すことをのみを課す。みんな指をおりながら新しい日本語の世界を楽しんでいるよう。試験のために恐ろしい勢いで語彙を増やしたのだから、そんな日本語の中から美しい音やイメージを選んで心像と結びつけみる試み。語学の開拓と冒険はいろんな角度から。
 院生の複合動詞のアンケートの問題点を見ていたら、「―出す」も「−込む」も抽象概念とつながったときの出来事はなんだったのだろうと思う。つまり「洗い出す」や「考え込む」のことです。「思い込む」はその人を惑わす魔物のような考えでもこそこそ入り込んできて居座ったような感じだけれど。
 林檎の木ゆさぶりやまず逢いたきとき(寺山修司)…
何を揺さぶって誰に会いに行こうかな。