板栗

堕落街の入り口で蘭州宗統拉麺(2元)を食べて、板栗(500g10元)を買って帰る。
板栗は日本で言う甘栗、何も加えずにどうしてこんなに甘くておいしいのかなとほくほくと暖かく幸せな気持ちになる。
おばさんは、炒りたての中から火傷しないかと思うぐらい、熱々で良いのを選んで袋にいれてくれる。この店は学生のお奨めのお店だけあって、冷えた栗をスコップでいっぺんに掬って袋にいれる他の所とは一味も二味も違う。昔の中国映画に出てくる緑色の解放軍風の上着をきた浅黒くて小太りのおばさんだけれど、栗への志が伝わってくる。今日は食堂で思い切り横ハイリされただけに、甘栗おばさんが列の後ろの人に向かって、「この人が先に待っていたんだからね」などと言ってくれるのも、ちょっと嬉しい。
 犬が後ろ足でおなかを掻いている。堕落街の小路にも冷たい秋風が吹いて、包子(パオズ)を蒸す蒸篭からも白い蒸気がもくもくとあがっている。