キッチンとアイロン

夕方は1年生の朗読コンテストだった。課題文の1つに吉本バナナの「キッチン」の一節があり、多くの学生はこれを選んでいた。 大学院生のとき先輩に連れられ吉本隆明氏のお宅に行き、まだ高校生になるかならないかの吉本バナナにあったことがある。もちろんそのときは吉本バナナとは言わないが。その人が大人になって書いたものを今、中国の若者がこうして課題文として読んでいるなんて、現実に遠い記憶がすかし模様になって見える。
お昼は疲れて、夕方まで眠ってしまった。夢の中でこの部屋の箪笥の扉をあけ、「あら、買わなくてもアイロンがここにあるじゃない」と手にとっている。アイロンは携帯電話より前からほしいと思いながら、まだ買っていないものの1つ。だからと言って夢にまで見るほど欲しがっているものではないと思うが、夢の構造ってどうなっているのかな。未入手・未回収のものへの欲張りな感情は夢の中では増幅されるのかしらん?