大道を行く

mklasohi2012-06-26

朝、成田9時発予定のCAエアチャイナが欠航し、一瞬どうなることかと心配しましたが、10時35分発のANAに振り替えてもらえ、昨夜9時、無事武漢に帰りつきました。
気温31度。飛行機を降り立つとむわっと中国三大かまどの湯気。北京を経由して、中国が深くなったことを、周りのおじさんたちのポロシャツからも感じます。地味なポロシャツ姿に、最近では皮の鞄やフェンディかなと思うブランド鞄を肩からかけている。北京の空港では若い男性がプラダの袋を持っていました。ANAで乗り合わせた、加藤嘉一氏似の中国人の若い男性も、胸にBurberryと書いた長袖Tシャツ。Burberryにこういうシャツがあるんですねぇ。ANAで帰国というのもお金持ちの証拠かな。なんだか落ち着きのない人でしたが。
それにしても、飛行場周辺の中国の人たちはこの「かばんは高い」とか「この服は高い」と書かれたものを持っているものですね。北京からの飛行機の中では30代ぐらいの女性がipadでゲームをしていたり、隣の席の女性もipadで中国語版ドラえもんの漫画を読み、お子さんと思しき赤ちゃんを動画で見ていました。
経済発展にともなって物質文明を享受している人がここかしこ。

タクシーに乗り込むと、どのルートを通るかと聞かれました。環状線道路も増え渋滞解消のための選択肢を増やしていますが、夜9時ならば空港と武昌をほぼ直に結び、水果湖の下のトンネルを抜ける、去年できた道路が便利だろうと答えました。
武漢大道だね」と運転手さん。

これは昨年10月の辛亥革命記念行事のために空港から一気に湖北省政府へ40分で着けるようにと建設された道路です。中央から偉い人たちを迎えるための道路だったわけですが、街も記念館や周辺もお化粧を施したにも関わらず、中央政府のお偉方は北京で記念行事を行い、武漢に来なかった前後の経緯がありそうです。武漢を上から見下ろすような直通高架の「大道」。でも、逆にいうと、地面に貼りついた町の雰囲気が見えにくくもあります。だた、その「町」も多くの場所が取り壊され、顔を変え、マンション建設にともなう、大型家具屋さんの店舗も目立ちます。銀座に買い物に出て、東京の夜もLED照明のおかげで街の色を変えていると思いましたが、武漢のそれは、大声が響く中国のレストランの中ともどこか似たてんでバラバラの「大声の」ライトアップ、しかも色がどぎつい。日本の照明デザイナー石井幹子さんがご覧になったらきっと卒倒なさるでしょう。

空気の悪さ、横を通る大型トラックの胴体に書かれた金金金の文字、ぶつかっても謝らない人、派手な照明…にどっと疲れを感じますが、一晩明けて、キャンパスを歩き子どもたちの「子ども特徴のある話し方」が耳に入って来たり、蓮の花の満開に出迎えられたりしていると、またまた荷ほどきのようにほどけてくる気持ち。

ただ、今年は「蓮の花祭り」なのか、池のそばに蓮の水鉢がみっちりと並べられて、蓮の花を接写できるというよさもあるものの、蓮池の周りに蓮の鉢を並べまくるというこの趣向、ちょっとおなかいっぱい、いっぱいかな(笑)。

概して日本は枯淡な美を愛し、中国は大きいこと多いことを美しいと思うよう。

「羊大きければ美なり」(説文解字)ということか…。