何田田(フーティエンティン)

密度の濃い忙しい一週間が終わった。
…江南では蓮が採れるよ。葉は風に揺れるよ、ゆらゆららと。魚は泳ぐよ、南に北に…

江南  蓮を 採る可(べ)く,蓮葉  何ぞ 田田たる。
魚は 蓮葉の輭に 戲れ、魚は 蓮葉の東に 戲れ、
魚は 蓮葉の西に 戲れ、魚は 蓮葉の南に 戲れ、
魚は 蓮葉の北に 戲る。
(江南・漢代楽府)

「なんぞ田田たる」は、蓮の葉が水の上でゆれ重なり合うさま。大きな蓮の葉を見ていると一つ一つがまるで緑の葉の中に田の字を持って揺れているようにも見える。魚たちはその蓮の葉に隠れながら、あちらこちらに泳ぎ回る。これが詩の大意。漢代の楽府古辞であるから民間で歌われたもの。
神戸大定延先生をご講演の合間、特選辛亥革命ルートや自転車東湖の旅にお連れした。革命の発端地ともいわれる紫陽湖公園の湖の傍の椅子に座って先生とひとときぼうっと蓮を眺めながらこの詩を思い出していた。
湖面は静かに、揺れる蓮と、ときおり飛んでくる小鷺。水の中には魚がひそひそと生きる。時間が止まったような、水辺の景色。
今週の思い出は、数々お尋ねした蓮の葉の数ほどの詞の問題と、湖畔に密集して生え湖の多くが中心を向いて揺れている紫陽湖の蓮の葉の田田たるさま・・・

ところで何田田というニックネームで女性に「江南可採蓮,蓮葉何田田,」http://blog.sina.com.cn/hetiantianというブログがあります。07年に中国初のHIV女性感染者のネットワーク「蒲公女性網絡」を立ち上げた人で、教師でもあり、この詩が好きで子どもが生まれたら「田田」と名前をつけようと思って、検査に行きHIV感染していること知ったそうです。

なんぞ田田たる…。