工作室の人々

午後は授業がないので、中文系の研究室に寄ったあと、鍼を打ちに行った。以前行っていたマダムなサロンは車が混んで通えないなぁと思っていたら、薬局の薬剤師さんが南二門の前のスポーツマッサージ「康復工作室」というところを紹介してくれた。体育大学病院の分室なのだそうだ。
ドアを開けると煙と漢方のにおい。「もぐさ」だそうで、奥でおじさんが、20センチもありそうな太くて長い鍼をさされ、その先にお灸のようなものが燃えていてじっと我慢している。マダムな所とまったく違う風景。あちらは男子禁制のちょっと高級で疲れたキャリアウーマンや、大学の女の先生が横になっていて、アロマオイルの香りが漂う。
中医の男の先生が慣れた手つきでマッサージをしてくれ、そのあと腰には抜缶子、そして首に鍼。頸椎のゆがみは首を右と左に曲げられるとぐきっと音がした。こわがらなくていいよと言われても音が怖い。あれこれ2時間ぐらいやってもらってなんと40元、サロンの半分以下だ。しかもすこし楽になったみたい。連続10回来ると効果的だと言われたが、夜9時まで開いているということだし。こんなに近いならばそれも可能かな。
やってもらいながら、もぐさのおじさんを見たり、40−50代のおばさんと話したりした。おばさんは胃が痛いのだそうで、足三里などを揉まれて悲鳴を上げていた。それから、友達に肩を担がれ30代ぐらいの少し太めの男の人が入ってきた。足をねんざしたそうで、こちらもうつぶせで見えないから何をやられたかわからないが「うわぁ〜これ以上は耐えらない」などと騒いでいる。
男性がやってくること、庶民的なこと、そしてどっぷりと武漢語であることがまたマダムなところと違う。大学の中は「普通語を話そう」と書いてあるので、こんなこてこての武漢語Onlyは普段ないディープな体験だ。
暗くなりかけてからは、女子学生が3人の友達にほとんど担がれるようにして入ってきた。やっぱり足を痛めたようで、携えたレントゲン写真を中医の一人が、眺めて何か言っている。 そしてまたしばらくして、声のでっかいおじさんが入ってきた。首に鍼を打たれていた時だったから大きさがが響く。武漢人だなぁ、この声の大きさ。
「骨折してから28日もたつのにちっとも治らん」女子学生のお父さんのようだった。
大きな部屋にいる全員に聞かせるほどの声。
夜の選択授業でも久しぶりに聞きにいこうかと思ったけれど、ここでの10日コースのほうが、面白そう。