漢劇を見に行く

mklasohi2007-04-08

京劇講座の老師に声をかけていただき、漢口の「大舞台」という劇場に漢劇を見に行った。漢劇は湖北省で生まれた劇で、京劇の元となった伝統演劇の一つだ。
 入るなり今まで中国で行った大きな劇場とちがって、庶民が楽しんできた劇場の雰囲気が肌に感じられる。寄席でいえば国立劇場末広亭で見るのとの違い、お年寄りが多いのも古くからの贔屓客がいることを物語っている。
見せ場になると切れのいい声で「ハァオッ、ハオッ」とあちこちから声がかかる。歌舞伎の「よぉ、音羽屋!」などの掛け声は、大向こうの人しかかけられないが、会場の誰彼もここぞというところに一体となって見せ場を褒め上げる感覚がなんともいい。
 拍子をとる人、唸る人、それぞれが熱気を帯びている。ああ、これなんだ。これをクラッシクコンサートにも持ち込むから、顰蹙ものだが、こうした地方劇の見方はこの臨場感、役者と一緒の息遣いでここぞと言うときに、ともに盛り上がっていくものなんだなぁと感じさせられる。
 今日の演目は「虹橋贈珠」、「文昭関」、「殺舟官」など各々味わいの違ったものだが、お誘いしたN先生、さすが学者だけあって、下調べも万全。中でも私が気に入ったのは「宇宙鋒」という刀を巡る物語の「装瘋一折」、秦の始皇帝の馬鹿息子から 妃にと目をつけられた未亡人が発狂したふりをして難を逃れるというお話で、その哀れに妖しい「あいやぁ、はぁ、は、は、ははは」と発狂を装う笑い声と手のしぐさがいい。これは漢劇から京劇にもとられた演目で梅蘭芳の名演もあるらしい。今日の役者さんも人を払う狂気のそぶりが大変魅力的だった。
 いやなことを追い払うときはこれで行こうと頂戴して帰りました。あいやぁ、はぁ、は、は、ははは。
 青島でのシンポジウムで研究発表が採用されることになった。よかった。これは、章さんに発表してもらって私は裏方。非言語行動に関する調査研究と提言だが、多少勉強して一緒に調査票は作ったまま、開催が危ぶまれているという噂もあったので、忙しかったこともあり、3週間放っておいた。
重なるときには重なるもので、平常授業以外にいくつか取り組んでいることもある。どれ一つとして、心向かわぬものはしていないのだから、落ち着いて一つ一つやって行くまでだが、忙しい。
もしかしたら更新頻度は落ちるかもしれませんが、まじめに働いていると思ってご安心ください。明日から一週間、魔の教育部の検査もあることだし…。
アイヤァ、ハァ、ハ ハ ハ ハハ…。